日本海に接する江津市波子の集落。石州瓦のメイン産地都野津町から西に車で5分のところにその集落はあります。昔は波子浦と呼ばれたように、北風を遮る大崎鼻に守られた小さな船着場を持つこの地は、明治、大正、昭和のはじめころ、石見焼きと石州瓦を全国的に有名にした問屋や大仲買人を多数輩出。
当時、波子の問屋、仲買人の石見焼きの取扱量は、全生産量の7割を占めていたと言われています。
波子の町は古くから漁業が盛んだったが、江戸時代になると炉事業も盛んに行われ和鉄の輸送も手がけるなど、航海に優れた船乗りたちが多数存在していました。
北前船の寄港地でもあった波子浦には、地元船も往来し活況を呈しました。その和鉄が廃れると彼等は石見焼きと石州瓦に活路を見出し、最盛期には100隻を超える船を有するほどになります。
現在は、波子の集落は、閑静な住宅街といった感じで、石州瓦赤の景観を、日本海に向かって見せています。夕刻ともなれば日本海の夕日があざやかに、赤の甍の波を照らし出し、この集落独特の美しさを描いてくれます。
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