塩がもたらす暮らしの被害。日本はグルッと海に囲まれた地形で、昔から塩の被害が農業や林業、電線、車、コンクリートなど多くの自然や構造物に発生しています。
住まいも例外ではなく、金属材やスレート、コンクリート材、エクステリア建材も被害を受けていますが特に屋根は面積も広く、塩害をまともに受けています。屋根の塩害でやっかいなことがあります。金属屋根などは比較的塩害被害が判り易いのですが、セメント系や釉薬瓦系は塩害被害が表面に現れにくく、目で確認しにくいことです。つまり屋根材の内部から塩害による腐食がはじまり、表面に現れたときはすでに屋根材本体はボロボロの状態。下地の腐食も生じているケースも少なくありません。ここまでになると屋根の補修工事も大掛かりになり費用も多額になってきます。
塩害は油断の出来ない猛威ということを認識してください。
屋根の塩害は、もっぱら屋根材の耐塩害性能に多くを依存します。とにかく塩害に強い屋根材を選ぶことがすべてと言っていいものがあります。
そして塩害に強い屋根材選びのコツは、焼成温度の高いモノを使用することにつきます。金属製は別にして、セラミック系の屋根材は、焼成温度が高ければ高いほど優れた品質になります。
石州瓦の焼成温度は1200度以上と、セラミック系の屋根材の中では最も高い製品。これだけでも石州瓦の耐塩害性能の優位性をお判りいただけると思います。
[塩害の影響で崩壊が進んだ瓦]
見た目では判らない 塩害の発生
瓦の塩害は、瓦と瓦の重なりに隠れて見えない部分に発生します。だから塩害は発見されないまま時間が経過し、知らない間に雨漏りがするというケースが多いのです。特に海岸近くや離島にお住まいの方は充分注意してください。
ごらんの写真は塩害試験の結果写真。あえて石州瓦と他産地の瓦とを比較してみました。
写真左が石州瓦、異常は認められません。中と右側の二つの写真、産地名は言いませんが、明らかに塩害と同じ症状をきたしています。特に右端の試験体は、表面の釉薬部分の腐食よりも裏側の粘土部分の腐食が進んでいます。これが塩害の特徴、見た目では判りにくいのです。
沖縄の屋根屋さんからよく聞きます。『あれだけ固く焼き締められているから、塩害には強いはず』『柔い瓦は塩害に弱い、何年持つか不安・‥』もともと石州瓦は寒さに強いという評判によって寒い地方や山間部に普及しましたが、最近沖縄など暖かいところでも石州瓦の採用が目立つようになりました。理由はズバリ『塩害に強い』という期待感からです。ごらんの写真を比較して見てください。石州瓦は、その強さを実験で究明、見事にその強さを実証しました。
石州瓦 殆ど塩害が見られない石州瓦の試験体 |
他産地瓦A 塩害で素地の周辺がボロボロになった他産地の瓦 |
他産地瓦B 塩害で素地の半分がボロボロになった他産地の瓦 |
オーストラリア/ニュージーランド規格AS/NZS4456の方法を適用。瓦を硫酸ナトリウム水溶液中へ浸漬し、その後乾燥させる操作を1サイクルとし、これを40国繰り返す試験で、瓦の素地への影響を測定しました。写真はその影響を表したものです。
上記の写真のように、石州瓦はいわゆる塩害特有の『端部のハガレや欠落』が見られないが、他産地のものは、明らかにハガレや欠落が見られます。これは、塩によって、瓦の内部が破壊され、表面がボロボロになったことを表しています。
(島根県産業技術センター試験)