石州瓦が、北海道にまで運ばれていった一つの証を紹介しましょう。ごらんの写真、北海道は江差町の姥神大神宮の拝殿。江戸の後期か明治の初め頃に石州瓦で葺かれ、今から10年くらい前、再び石州瓦で葺き替えられています。
この姥神大神宮は、文安4年(1447年)の創建といわれ、北海道最古の神社の栄光を持っています。祭神はニシン漁の始祖といわれる折居社で今でも多くの漁業関係者の尊拝を受けています。現在の社殿は天保7年(1836年)遷宮されたものですが、石州瓦としては、その時の建替えに石州瓦が使われたのではないかと想像したくなります。
ちなみに江差町はごぞんじニシンの漁獲で大変にぎわった町。江戸の終わりから明治、大正にかけてその繁栄は最盛期を迎え、「ニシン御殿」と呼ばれる住居が建ち並ぶほどでした。
北前船は、ここ江差で大量の米を降ろし、京都で仕入れた古着を売り、干したニシンや昆布、ヒノキアスナロを積み込みます。干したニシンは、西国の綿栽培の肥料に最適だったのです。