瓦伝来から200年もすると、瓦は寺院だけでなく、宮殿や儀式用建築物にも使われるようになってきます。仏寺以外の瓦葺き建築物のはじまりは、藤原宮(694〜710年)の儀式用建築物、朝堂院と言われ、これは大陸の建築様式が寺院以外に初めて取り入れられたケースとされています。
こうして瓦葺きの建物は東北や九州にも波及していきましたが、需給逼迫に伴う品質の劣化からか、奈良時代後期から平安期になると瓦の需要は激減し、代わりに檜皮葺きや柿葺きが隆盛となっていきました。
そして瓦では、釉薬瓦の元祖「緑釉瓦」が誕生します。遣隋使や遣唐使によって、当時の長安一帯の唐三彩や彩釉陶の技法が導入され、その釉薬技法が新しい釉薬瓦を生み出したのです。
釉薬瓦は、767年、平城京の東院玉殿の瑠璃瓦が初めてと言われていますが、これは鮮やかな古瓦の出土や、緑釉、三彩釉、灰釉などの瓦窯跡の発掘で裏付けられています。
さらに昭和62年には、平安京の大内裏、豊楽殿と推定される建物の軒瓦、丸瓦、シビなどが発掘されましたが、それらは濃い緑色の釉薬瓦でした。